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 『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』を観てきた。
 4歳の娘が突然「いきたい!」と言い出し、同じく4歳(双子)の息子は「ポケモンガオーレのほうがいい」と言うので、妻と手分けし、ぼくと娘がプリキュア班として映画を観に行くことになった。

 ぼくは自称オタクとして恥ずかしい限りだが、プリキュアをあまり知らない。
 初代はリアルタイムで観ていた気がする。キュアピースがサザエさんとジャンケン勝負していたことは知っている。至高の名曲『Happy Go Lucky!ドキドキ!プリキュア』は歌詞を見ずにフルコーラス歌える。プリキュアアラモードとHUGっと!プリキュアは娘が観るのをときどき一緒に観ている。
 ただ、これでも一般の基準からしたら充分プリキュアを知っているほうに入るらしく、数日前「えっ、主題歌フルで歌えるのはちょっと怖いというか……」と保育園のパパ友に引かれた。なんだお前さっきまで一緒に「娘に付き合わされて観てたつもりが意外とハマるんですよね~」って語り合ってたじゃねーか浄化するぞ

 かくして、オタクサイドから見ても一般サイドから見ても恥ずかしい半端者であるぼくが『オールスターズメモリーズ』を観てきた。
 最初に言っておくが、ぼくは映画に厳しい。特に邦画に厳しい。邦画なんて8割が「はいここ泣くとこですよ~」って安い演出して「うわああ感動する~」って安い観客が泣いて「感動しましたぁ~」って劇場前で安いインタビュー受けるだけのクソだ。

 入口前で配られたミラクルライトを娘に持たせ、「こうやったら光るみたいだよ」と教えてあげていたら、ほどなく上映開始の時間になった。
 ぼくは絶対に泣かないっすよ。ぼくを泣かせたらたいしたもんっすよ。


【1】開始30秒、みなとみらい襲撃で泣く

 えっ、みなとみらいの赤レンガ倉庫が襲われてる!さっきそこ娘と歩いてきたんだけど!?
 コスモクロック(観覧車)が壊されてる!それ先週家族4人で乗ったんだけど!?
 みなとみらいの施設が次々に狙われてる!いまみなとみらいの映画館で観てるんだけど!?
 あまりにもわけがわからず、「ひょっとして各都道府県で上映される映像が違うのか?このバトルだけ背景がご当地になってるとか……?」と思ったのだが、どうやら違うらしい。ある意味めっちゃ貴重な体験をした。
 そして、これを観た娘がぼくの袖をぎゅっとつかみ、震える声で「どうしよう……ここにきたらパパがしんじゃう……」とひとこと。父を心配するやさしさへの感動と、「お前は生き残る前提なんかーい!」とツッコみたい衝動が入り混じり、ぼくは泣いた。上映開始わずか30秒後のできごとである。


【2】序盤の子育てシーンで泣く

 敵の能力によって仲間のプリキュアが全員赤ちゃんにされてしまい、その世話に追われるキュアエール。
 抱っこして移動しようとするだけでも大変で、赤ちゃんキュアマシェリに靴を38回もぶん投げられるという描写があった。そこで号泣。
 そうなんだよ。赤ちゃんって、もうそういう機械なんじゃないかと思うくらい靴を投げまくって履かないことってあるんだよ。娘も息子もそうだったよ。つらいよね。
 ぼくはそのときもういい歳だったからまだいいけど、キュアエールは中学生でしょ。ムリでしょ。逆になんで38回も我慢できるんだよ。どんだけがんばってるんだよ。すごいよプリキュア。すごすぎるだろキュアエール。


【3】子育ての報われなさに泣く

 上記のシーンから数分後、赤ちゃんプリキュアの世話に心身ともに疲れ果てたキュアエール。
 なにを言っても聞かない。なにをやっても泣き止まない。なにを想っても届かない。
 そしてついに、涙があふれ、出てしまった「なんでこんなことになっちゃったの。私はみんなのことが大好きなのに!」という言葉。ここでまた号泣。
 そうなんだよ。子育ての愛って、基本的に一方通行で報われないものなんだ。特に赤ちゃんのときはそうで、「愛情を込めれば子どもは必ず応えてくれる」みたいなのは100%ウソだ。どんなにがんばっても、どんなに愛しても、どんなに思い詰めても、うまくいかないことのほうが多い。
 つらいよね。ちなみにこのシーンは、ぼくだけじゃなくて周りのお父さんお母さんもけっこう泣いてたよ。グサグサ刺さるよこれ。いい歳こいたおっさんでもつらいのに、なんで中学生がそんなつらい想いを経験しなきゃいけないんだよ。キュアエールどんだけいいお母さんになるつもりなんだよ。


【4】プリキュア完全復活!応援で泣く

 終盤、詳細は伏せるが、観客の応援によってプリキュアたちが完全復活するシーン。
 劇中の登場人物から、「ミラクルライトを持って、好きなプリキュアの名前を叫べ!」的なことを促される。
 真っ暗な観客席が、子どもたちが持つミラクルライトの純白の光で少しずつ照らされていく。それはまるで闇夜にロウソクの火が灯るようで、あるいは大きな絶望に小さな希望が立ち向かうようで、これだけでちょっとウルッと来てしまった。
 そして娘に「パパもいっしょにいって!せーの!」と誘われ、感極まりつつあったぼくは全力で応えた。劇場に声援が響く!

よその子ども1「きゅああむーるー!」
よその子ども2「きゅあぶらっくー!」
よその子ども3「みんながんばれー!」
娘「きゅあかすたーどー!」
ぼく「キュアハートーー!キュアエトワールーーー!!」


 テンションが上がりすぎて音量を間違ってしまい、しかも成人男性の声は明らかにぼくひとりのみ。
 ぼくは泣いた。顔を伏せ、声を殺し、今年いちばんの大泣きをした。



 というわけでいろいろあったが、2018年のプリキュア映画は最高だった、とお伝えしておきたい。
 そして、これから鑑賞予定の成人男性には、本気で観ていると感極まってしまうので声量に気をつけろ、とぜひ忠告しておきたい。