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 娘と息子は4歳の双子である。

 彼らは最近、ひらがなを読めるようになった。
 ひらがなを明確に教えたことはない。心当たりといえば、風呂に五十音のひらがなシートが貼ってあるのと、ときどき3DSで遊ばせている『アンパンマンあいうえお教室』と『ポケットモンスター サン』くらいだ。ゲームの力ってすごいと思う。
 おかげで最近は、昔クラブニンテンドーでもらった『どうぶつの森かるた』が家族の遊び道具として大活躍している。毎日のように読み手をやらされている。

 子どもたち自身は、いま、ひらがなを読めることが楽しくてしかたがない。
 テレビのテロップでも、駅のポスターでも、歩道のマンホールでも、はたまた文字のように見える上空の雲でも、とにかくひらがなを見つければ必ず読む。すらすらとは読めないので、「み!か!ん!」みたいな感じで区切って読む。ぼくと妻が「すごいね!合ってる合ってる!」となんでもホメるもんだから、ふたりはまたひらがなを見つけてはわれ先にと読む。
 双子がそろって叫ぶと、まあまあの大合唱である。けっこうな音量である。ご近所迷惑が心配な今日このごろである。


 さて、ぼくは朝型人間なので、各種の原稿は早朝に書くことが多い。特に土日は早く起きる。
 家族が寝静まっているあいだを自分の時間として有効活用する形だ。朝の冷気漂うリビングでひとり文章を推敲している。アイスコーヒーをちびちび飲みながら黙々とやっている。
 ちびちび。もくもく。ちびもく。ちくび。

「パパ、おはよう〜……」

 おっと、息子が起きてきてしまった。息子はぼくに似て早起きだ。
 すぐにPCをパタンと閉じてもよいのだが、息子も寝ぼけまなこなので、すぐには遊びたがらないことが多い。そういうときは息子をひざの上に乗せてあげて、PC作業を続ける。

 カタカタカタッ、ターン!

 どうだい息子よ。かっこいいパパのタイピングを目に焼き付けておくがいい。まあ、まだよくわからないだろうけどさ。

「パパ〜?」

 なんだね息子よ。眠い目をこすりながらも、パパのかっこよさに気づいたかね息子よ。

「どうして、おっぱいって、かいてあるの?」

 そうか、そうだったな息子よ。きみはひらがなを読めるようになったんだったな息子よ。
 じゃあ、膝から降りなさい。PC画面を見るのをやめなさい。少なくとも『ゲムぼく。』の記事を書いているときに見るのはやめなさい。おっぱいとかちんちんとかしか書いてないんだから。
 ママに言っちゃダメだぞ。「パパがあさひとりでおっぱいってかいてた!」って言うなよ。絶対言うなよ。パパ殺されるぞ。
 
 息子に朝からジュースを与えることで買収し、事なきを得たぼくは、なんとか無事に記事を書き終えたのだった。
 子どもの成長は早い。うれしい。しかし、それ以上に怖い。
 いつまでおっぱいおっぱい言えるかわからないので、いまのうちにたくさん言っておこうと思う。おっぱい!おっぱい!松下由樹の暴力的おっぱい!松坂慶子の包み込むようなおっぱい!奈美悦子の幻の乳首!!


人生劇場
三船敏郎
2015-08-01