以前、NHKBS1ならではのマニアックな名番組として『球辞苑』を紹介したが、ほかにもNHKBS1には尖った魅力を持つ挑戦的な番組が多くある。
 そのなかでもひとつ、ぜひ視聴をオススメしたいのが、『ぼくらはマンガで強くなった』だ。


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出典:http://www4.nhk.or.jp/boku-man/

ぼくらはマンガで強くなった
NHKBS1 毎週金曜23:00~23:50



 毎回、特定のスポーツマンガと、そのスポーツで活躍するアスリートに焦点を当て、そのマンガはどのようなこだわりやスポーツへの愛を持って描かれているのか、アスリートたちはそのマンガにどのような影響を受けて成長したのか、という両面を描く。

 地上波でこの手の内容をやろうと思ったら、情報番組の1コーナーで『巨人の星』『スラムダンク』『キャプテン翼』あたりの超人気スポーツの超有名どころをちょろっと特集するのが限界だろうが、NHKBS1は違う!
 スポーツ自体の人気がまだまだでも、そのマンガが世間的にはメジャーになりかけくらいの段階でも、50分がっつり取り上げて番組にしてしまう!スゲェ!!


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 最近の放送では、高校なぎなたマンガ『あさひなぐ』と、都立城東高校を中心とするなぎなた部を取り上げた回が特にすばらしかったと感じる。(2016年12月16日放送、12月21日再放送)

 『あさひなぐ』がどれほど綿密で熱心な取材のもとに成り立っているマンガなのか、主人公・旭はどのようにして生まれたのか、なぜ顔が隠れてしまうにも関わらず「面」の描写を絶対に省略しないのか……など、『あさひなぐ』の魅力をこれでもかというほど深掘りしてくれていた。
 また、スポーツドキュメンタリーとしても非常にすぐれており、なぎなた競技をぜんぜん知らないぼくも妻も、番組後半の都立城東高校と熊本西高校の対戦にボロボロ泣いてしまった。
 「『あさひなぐ』読んでます!大好きです!」とはにかみ、素朴と平凡そのものだったはずの女子高生たちが、面を着けた途端に眼光鋭い武人と化し、魂とプライドのやりとりをする。竹でできた薙刀の切っ先は、番組が進み彼女らの想いを知るにつれ、本物の刃のように見えてくる。


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 どの回でも言えることだが、ぼくたちふつうの人間にはどうしても「別世界の人間」に見えてしまいがちなトップアスリートを、誰にとっても身近な「マンガ」が媒介してくれることで、そのすごさが急激にリアルなもの、自分から地続きなものとして感じられるようになる。すばらしい番組だと思う。
 こんなにいい番組なんだから地上波でやってくれよとも思うが、地上波の制約のなかでは『あさひなぐ』の回のような感動は生み出せなかっただろうなあと思うと、うーん、なかなか難しい。


 そんな『ぼくらはマンガで強くなった』の直近の放送予定は下記の通り。

12月21日 「なぎなたで輝け!マンガと女子高生の熱き絆」 (再放送)

『あさひなぐ』×高校なぎなた

1月6日 「仲間がいるから“自分”を超えられる~駅伝~」
『奈尾子』『かなたかける』×駅伝

1月13日 「敗者の美学、引きぎわの美学~卓球~」
『ピンポン』×卓球

1月20日 「究極の肉体表現!“美”の高みを目指して~バレエ~」
『アラベスク』×バレエ



 マンガ好きもスポーツ好きも両方好きな人も、BSが観られる環境ならぜひ。
 絶対に損はしないと断言する。