ぼくは伊右衛門が好きだ。コンビニや自販機でお茶を買うときは必ず伊右衛門を選ぶ。
 味オンチなのでエラそうには語れないが、おいしいと思うし、竹っぽい見た目や持った感触も大好きだ。

 そんな伊右衛門ブランドに、2016年6月21日、夏らしい新商品が登場した。



 それがこの『伊右衛門 爽やかグリーンティー with レモン』。
 あまり見かけないなと思ったら、ファミリーマート限定販売らしい。

 そしてこの爽やかグリーンティー、たまたま買って飲んでみたら、なかなか見事にマズかった。
 飲めないわけではないが、「確実に40点は切ってらっしゃいますよね……」という感じ。ぼくの味覚はアテにならないので念のため妻にも飲んでもらったが、「……うーん、まあがんばって飲んでよ。私はコーラ買ってくるわと突き返された。ひどい。



 たぶんこれ、原材料から考えると、果糖ぶどう糖液糖レモン果汁酸味料が悪さをしているんじゃないかと思う。
 飲む側は「伊右衛門のスッキリした味わいはそのままに、レモンの香りがプラスされた感じかな」と思って飲み始めるが、実際には味の根っこの部分にまで糖とレモンががっつり進出していて、「ああー……なるほどねぇ……わからんでもないけどねぇ……」となってしまうのだ。


 ただ、勘違いしないでほしいのだが、ぼくは「マズいから買うな」と言っているのではない。
 むしろ逆で、マズいからぜひ買ってみてくれ!と言いたいのだ。




 昔はどうだったか知らないが、いまや成熟しきった日本の消費社会。
 なにも考えず適当に飲み物や食べ物を買っても、ハズレを引くことはめったにない。おいしいものがほとんどだし、悪くても「おいしくはない」程度の感想に落ち着くことばかりだ。

 そんなつまらない世の中に、万人が自信を持って「マズい!」と言える商品が現れた。しかも全国チェーンの超大手コンビニに。
 これは驚きを通り越して一種の感動であり、凝り固まった現代社会に一石を投じる革命である。
 同じマズい飲み物でも、最初からネタとして作られているペプシの新味とは違って、これは本気で作って本気で失敗している感じがまたすばらしい。



 「ああ、そうだった。世の中にはマズい物も売ってるのが当たり前なんだった」と、成熟した社会に甘えきった現代人に思い出させてくれる、『伊右衛門 爽やかグリーンティー』
 来年の夏には絶対に発売されないと言い切れる味なので、消える前にぜひ買ってみてほしい。


小泉 武夫
2005-12-22